ささやかな仕返し。モラハラ上司の言動を記録して退職時に社長にメールした話

ささやかな仕返し。モラハラ上司の言動を記録して退職時に社長にメールした話

もしかしたら上司の言動は「モラハラ」かもしれない… そう感じたら、記録をとってみてください。言われた内容を文字に書き起こすだけでも構いません。そうすることで呪縛が解け、冷静になれます。退職する際、私はささやかな仕返しとしてそのメモを社長にメールしました。

モラハラは気づくのが難しい

膝を抱えて絶望する女性

31歳の時、初めて転職した先で強烈なモラハラ上司に遭遇しました。

最初は相手の言動に多少の違和感は感じながらも、「モラハラだ」と気づくことができませんでした。

なかなか仕事に慣れず、叱られてばかりの日々の中で「転職ってしんどいなぁ…」「ずっと一社にしかいなかったから、外のことをまるで知らなかったんだな」と、当時は辛さの原因を転職そのものにあると捉えていました。

今考えれば、その辛さは転職のせいではなくて、モラハラ上司が原因だったことは明らかなのですが。

あれからもう4年以上が経つにも関わらず、当時の八方塞がりだった苦しさは今でも昨日のことのように思い出します。

 

モラハラの厄介な点、それは本人も周囲も「これはモラハラだ」と気づくことが難しいことだと思います。

業務上の指導や指摘、教育との区別がつきにくく、特に素直な部下は「自分のためを思って言ってくれているのだ」などと捉えてしまいがちです(私も当時はそんな「素直な部下」でした)。でも、そんなふうに我慢しているうちに、ちょっと取り返しのつかないところまで心がやられてしまうことがあります。

 

モラハラ上司の第一印象は「温厚で良い人」

一般的に、モラハラをする人間の第一印象は良いことが多いようです。

私自身、最初はモラハラ上司のことを温厚で優秀で良い上司だと思っていました。後々、かなりヒステリックな男であることが分かったのですが、最初の印象はかなり良かったです。穏やかで、いかにも話が分かる人という感じで、頭が良い上司の下につけて良かったとすら感じていました。

そんなふうに相手のことを肯定的に見ていたために、当初は指摘を受けるたびに、それは自分が至らないせいだと思っていたのです。

私は新卒で入社した会社に10年近く勤めていたのですが、その会社しか知らないことにコンプレックスを抱いていました。自分は他で通用するのだろうか、という漠然とした不安を常に抱えていたのです。今思えば上司は私の不安をすぐに見抜いて、すかさず利用したのでしょうね。

 

何かにつけて、「あなたは素人だから…」「ビジネスの基本も分かっていない」「お山の大将だったんでしょう」「レベルの低い仕事をしてきたことがよく分かる」「レベルの低い集団の中でマシな方だったからといって、できる気になっている」などと言われました。

 

当初の私は、その言葉にさほど疑問を感じませんでした。

なるほど、一社しかしらないというのはやはり恐ろしいことだな… 今はかなりしんどいけれど、でもだからこそ思い切って転職して良かったのだ。今を乗り越えれば、きっと私も一皮剥けるはず… などと、今思えば呑気だったと思います。

 

しかし、いくら頭では前向きにとらえようとしていても、朝から晩まで否定され続けることで精神は確実にダメージを受けます。夜はよく眠れなくなり、食欲もなくなり、四六時中ビクビクと怯えるようになりました。目の前の仕事はどうにかこなしていましたが、常に不安が頭を離れませんでした。

 

言動の記録(メモ)を始める

そんな状態で約2ヶ月、仕事には全く慣れることができず、今まで普通にできたことですら苦痛に感じるようになりました。さすがにおかしいのでは… と疑うようになり、インターネットで上司の言動の傾向を調べていたところ「モラハラ」という言葉にたどり着きました。

いくつかのサイトでは、相手の言動を記録することが推奨されていました。後々相手をモラハラで訴えるためには証拠が必要、だからレコーダーで録音するなり、メモでもいいから記録をとっておくように、といったことが書かれていた覚えがあります。

 

その時点では、上司を訴える、などということは私の頭にはありませんでした。そんなことをしたら、どんな仕返しがくるか… 考えただけでも恐ろしかったからです。

 

それでも、上司の言動を文字に起こすことだけはやっておこうと思いました。

というのも、果たしてその上司の言動が正常なのか異常なのか… つまり「教育・指導」の範疇なのか、「モラハラ」レベルなのか… 上司に怯え、混乱していた当時の私には判断ができなかったからです。文章に書き起こし、それを夫に読んでもらおうと思ったのです。

ほとんどの会話が上司との密室状態でのことだったため(同じフロアではありましたが、他の社員とデスクが離れていました)、当時は他の社員に意見や判断を求めることができませんでした。

実際モラハラというのは密室状態の中で行われることが多く、受ける側は正常な判断力を奪われ、コントロールされてしまうことも多いと聞きます。まさに私も、そんな状態でした。

 

モラハラ発言を記録するメリット

業務中にこっそりWordを立ち上げておき、日々モラハラ上司から暴言を受けるたびに書き出しました。本当なら今すぐにでも忘れてしまいたいくらい気分の悪い言葉ばかりでしたが、我慢して書き留めました。

違和感を覚えた言動は、どんな小さなことでも全て書き出しました。その頃には、モラハラ上司は時々他の社員とも小さなことで衝突するようになっていました。そうしたトラブルの原因や、トラブルの際の会話なども全て記録しておきました。

 

そして… 改めて読み返してみると、おそろしいほど頭がハッキリしてくるのを感じました。そこに並んだ言葉を見ていると、どう考えても、指導や教育といえるものではなかったからです。

Wordファイルに並んだ言葉はどれも、教育上全く必要のない暴言でした。そして指導というにはあまりにも、具体性に欠ける内容ばかりでした。他の社員とのトラブルについても、モラハラ上司の言い分には一貫性がなく、意味が通らないおかしな発言ばかりであることがハッキリしたのです。

 

夫にも読んでもらいました。夫は、「ヤバいね… 異常だよ」と言いました。

 

思い出したくもない発言を記録するのは苦痛な作業です。でも、書き留めることで「これはモラハラである」と気づくことができるというのは大きなメリットです。

また第三者に意見を求める際の貴重な資料になりますし、最終的に上司を通報したり、法的に訴える際の証拠ともなります。

 

上司の言動に違和感を感じたら、ぜひ録音するか、書き留めるようにしてください(私は怖くてできませんでしたが、本当は録音の方が良いと思います)。

 

モラハラ上司へのささやかな仕返し

こんな異常者の下で働き続けたら精神を病んでしまう… そう思った私は社長に相談し、退職を決めました。

上司のモラハラを社長に訴えてどうにかしてもらおう、などという考えはありませんでした。というのも、その会社は当時立ち上がったばかりのベンチャー企業、大企業を渡り歩いてきた高学歴のモラハラ上司を、社長が必要としていることは分かっていたからです。

少し特殊な状況で、いろんな点で私には不利だったなと思います。また私自身もかなり疲弊していて、早く逃げ出したい一心でした。既に闘う気力がなかったのです。

 

それでも、辞める際に一つだけ仕返しをしました。

自分用に記録したWordファイルを、退職前に社長にメールに添付して送ったのです。

 

退職を申し出ると、当然ですが社長は私に理由を尋ねました。基本的には「退職は波風立てず、円満に」という考えの私ですが、この時だけは違いました。退職後にその会社と関わる気は一切ありませんでしたし、3ヶ月で辞めるのに円満も何もない、と思ったからです。

 

「〇〇部長(モラハラ上司)の言動に耐えられません」とそのままを伝え、モラハラ上司との会話のうちのいくつかを話しました。

 

社長は社員同士のイザコザなどさほど興味はないだろうと思ったのですが、意外にも、モラハラ上司から他にどのような発言があったのかを訊いてきました。私が「色々ありましたが、思い出せる限りのことはメモしてあります」と言うと、そのファイルを送ってくれと言うのです。またそのファイルを役員とも共有して良いかと訊かれたので、構いませんと答えました。

 

後日、私はおおまかな日付と、モラハラ上司の言動を記録したWordファイルを社長宛にメールで送りました。

そのファイルにはモラハラ上司から私個人に向けられた暴言の他、休日でも早朝でも夜中でも構わずLINEを入れてくることや、他の社員に対するモラルに欠ける発言も書いてありました(モラハラ上司は、毎日私に他の社員の悪口を言って聞かせており、私にはそれも非常に苦痛だったのです)。

たとえば、

 

社長秘書の女性を「あんなのは女子校生」だと言ったこと

経理事務の男性を「知●遅れ」と言ったこと

「子どもを産まない女性とは結婚してもしょうがない」と発言したこと

他部署の女性を「飲み屋のオバちゃんみたいだ」だと言ったこと

私に対して他の社員を「見張れ」「監視しろ」「手懐けろ」などと指示してくること

 

これでもまだ一部ですが… とても総務・人事を担う人間の発言とは思えません。

その後、社長が私が送ったWordファイルをどう処理したかは知りません。本当に役員に共有したかもどうかも知りません。社長自身、目を通したかどうかも分かりませんが… おそらく、どこかのタイミングで読んだのではないかと思います。

 

仕返しは、しておいて良かった

「仕返しして良かった」なんて、ちょっと穏やかじゃありませんが、でもやっぱりしておいて良かったと思っています。

このやり方はベストではない、ということは分かっています。パワハラやモラハラ、いじめなんて、本来なら職場であってはいけないことですよね。しかもやられた側がおとなしく退職、やった側がのうのうと在籍し続けるなんておかしな話です。モラハラ上司と面と向かって闘う勇気が私にあったらよかったのに、と思います。

でも私には、在職しながらそれをする勇気がありませんでした… 報復がおそろしくて。また私が「闘える人間」だったなら、最初からターゲットになることもなかったはずです。

退職直前には環境を改善したいという気持ちはもはやなく、一刻も早くこの地獄のような毎日から抜け出したい、そればかり考えていました。報復に怯えながらモラハラ上司と闘うなんていう考えは、私の中にこれっぽっちもありませんでした。

 

でも、そんな感じでほぼ99%逃げ腰だったからこそ、仕返ししておいて良かったと思うのです。

完全にやられっぱなしでは、充分すぎるほど感じていた敗北感が、より凄まじく耐えがたいものになっていたでしょうし、後々まで「こうすれば良かった」「ああすれば良かった」とクヨクヨと思い悩み、モラハラ上司への恨み辛み・怒りに囚われ続ける結果になっていたと思います(私の性格上…)。悪くすれば、メンタルを病んでいたかも。

 

それが、直接対決ではないにしろ、辞める間際であったにしろ、かろうじて反撃したことで、多少溜飲が下がったというか。結果的に退職し、職も収入も失ったのは私の方だったけれど、少なくとも完敗ではないと思えました。そのことが、当時どん底にいた私にとってはちょっとした救いでした。

 

ちなみにその後、件のモラハラ上司から「よくも密告したな!」といった類の連絡はありませんでした。LINEは退職日の帰り道にブロックしてしまったので、LINEでメッセージが来ていたら分かりませんが…。

 

あれから4年経った今、風の噂では、そのモラハラ上司は既にその会社にはいないようです。

 

【関連記事】

気づいたら、全力で逃げましょう!「モラハラ上司」の特徴

モラハラ?指導?判断に迷ったら、厳しさの“目的”がどこにあるのかに注目してみてください

職場のモラハラ。我慢してると、こうなっちゃうよ

転職・仕事カテゴリの最新記事