職場でモラル・ハラスメント(モラハラ)に遭ってしまい、辛い思いをしている人は少なくないと思います。
正確には、「これはモラハラだ」と気づくことができないまま、会社に行くのが辛い、上司との人間関係が異様にしんどい… と感じている人。
もしかしたら明確に「モラハラだ」と認識できている人よりも、そうでない人の方が多いかもしれません。

私も、ずっと自分が悪いんだと思っていました…でも、実はおかしいのは相手の方かも?
この記事では私自身の体験をもとに、モラハラ上司の特徴についてまとめました。
「モラル・ハラスメント」は気づくまでが大変
私は初めての転職先で、強烈なモラハラ上司に遭遇しました。
でも、当初はなかなか「相手がおかしい」と気づくことができませんでした。
そのため『転職って、ずいぶん辛いものだなあ』『いつになったら慣れるんだろう』…と、日々の辛さの原因を「転職そのもの」の方にあると考えていたのです。
私が「モラハラ」という言葉を意識し始めた(あの人はモラハラ上司だ、と認識した)のは、実はその会社を退職することが決まってからでした。
もっと早くに相手の異常性に気づいていたら、結果は変わっていたかもしれない、と悔しく思うこともあります。
一方で、おかしいのは相手の方だと気づいてからは必要以上に自分を責めることもなくなり、楽になったことも確かです。
「モラハラ」は、気づくまでが一番しんどいし、大変なのです。
あてはまったら要注意。モラハラ上司の特徴
ここからは私自身の体験を交えつつ、「モラハラ上司の特徴」と思われるものを挙げていきます。
もちろんこれらの特徴が当てはまるからといって、即「モラハラ」と断定できるわけではありませんが、疑ってみても良いのではないかと思います。
部下に(不必要に)劣等感を植えつけようとする
職場のモラハラは、上司と部下、先輩と後輩、といった上下関係を隠れ蓑して始まるパターンが多いのではないでしょうか。
そうなると「教育」「指導」と「ハラスメント」との区別が非常につきにくいため、互いに自覚のないままジワジワとモラハラの加害者・被害者となっているケースも…。
「あなたはまだ経験が浅いから分からないだろうけど...」
「あなたの今までのやり方は、ここじゃ通用しないから」
「私はこの分野で20年の経験があるんだから、あなたなんかよりずっとよく知ってるんですよ」
新人の時は誰でも一度や二度、上の人からこうした言葉をぶつけられた経験があると思います。
このようにあからさまに人を見下した発言でも、上下関係があるために、何となく許されてしまう雰囲気がありますよね。
しかし、こちらが謙虚な姿勢を見せているにも関わらず、あまりに頻繁にこうした発言を繰り返すようなら要注意だと思います。
目に見える上下関係に加えて、精神的にも優位に立とうとしている可能性があります。
さらに、自分が上だとアピールするだけならまだしも、部下の経験や人格を否定するなどして執拗に<お前はダメなやつなんだ>と刷り込もうとしてくる場合、モラハラの可能性は高いと思います。
具体的な指示は、決して出さない
モラハラ上司は、部下に対してきちんとした業務指示を出しません。
そして、部下がやったこと(或いは、やらなかったこと)に対して、必ず後出しでネチネチと指摘をしてきます。
「具体的な指示がない」… 部下にとってこれほど不安でやりにくい状況はありません。
完全に放任主義ならまだしも、モラハラ上司の場合はそうではなく、必ず後で何かと指摘をしてくるからです。
むしろ後で指摘をするために、敢えて事前に指示は出さないでいる、と言ってもいいくらいです。
自分が何をするべきなのか、また、何をやってはいけないのか、全く以て分からない… という状態は、精神的に不安定な状態を生み出し、本来の力を発揮できなくなっていきます。
指示を仰げば、
「イチイチ聞かなければ何もできないんですか?」
自発的にやってみれば、
「勝手なことをしなでください!」
部下からしてみたら、「じゃあもう最初からキチンと指示してよ!」となるわけですが、モラハラ上司の狙いは部下を追い詰めることにあるので、彼らにとってはこれでOKなのです。
具体的な指示を出さないことにより、部下が何をやっても、或いはやらなくても、どちらにしても後から怒ることができるからです。
また、指示を出さないことで責任逃れようとしているとも考えられます。
部下の仕事がうまく行かなかった時には、「私はそんな指示はしていない」と言うつもりなのでしょう。
質問をさせない、また質問に答えない
「指示をくれないのであれば、こちらから確認してみよう…!」
しかし、モラハラ上司は質問や確認をされることを非常に厭がります。
部下の方は、また「勝手なことをするな」と言われるのが怖いので、上司に確認した上で仕事を進めようとします。
「この件を進めようと思うのですが、よろしいですか?」
これはモラハラ上司としては面白くありません。質問した途端、あからさまに不機嫌な顔を見せるはずです。
YESでもNOでも、この質問に答えてしまったら部下はそれに従うでしょう。
そうなると、上司にとっては「後でネチネチ怒る」ためのネタがひとつ減ってしまうことになります。
あくまでも、「部下が勝手にやったのだ」という図式を保つ必要があるのです。
だから、モラハラ上司から返ってくる回答はこんな感じになります。
「そんなこと、わざわざ私が言わなきゃ分かりませんか?」
「それくらい、自分で判断できるでしょう!」
これでは仕事を進めていいのか悪いのか、全く分かりません。
部下は不安を抱えながらも仕事を進め、やっぱり後で怒られる… という流れにすっかり打ちのめされてしまいます。
なお、うっかりモラハラ上司のプライドを傷つけるような質問をしようものなら、酷い目に遭います。
たとえば、質問をすることで(間接的にでも)上司が見落としていた部分を指摘する形になったり、こちらの質問の答えを上司が知らなかったり(分からなかったり)した場合です。
こういう時、モラハラ上司はヒステリックになり、恐ろしいほどの勢いで報復してくることがあります。
「そんなこと、今はどうだっていいでしょう!」
「なになになに、何が言いたいの?」
「ハァア~? それがこの件と何か関係があるの?」
と、威圧してくる場合も…。
いずれも私が、件のモラハラ上司から日々浴びせられていた言葉です。

私、よく生きてたな… と思う。。
モラハラ上司に質問してはいけないのです。
時間外でもしつこく連絡を入れてくる
プライベートな時間に介入してくるのも、モラハラ上司の特徴といえます。
私の場合、緊急時の連絡用にと、モラハラ上司とLINEを交換したのが恐怖の始まりでした。
連絡先を交換したその日から、帰りの電車でも、夕食中でも、息子の寝かしつけ中にも、深夜でも、翌朝5時台でも… ピコンピコンと私のスマホはなりっ放し。
しかも、届いたメッセージを見てみると、内容は全く以て緊急性のないものばかりだったのです。
<昨日の打ち合わせのあなたの発言はおかしい。人事としての自覚があるのですか>
<総務のA山さんは何をやらかすか分かりません。行動をよく見張っておくように>
<S岡さんは使い物にならない。ぐる子さんが教育係としてしっかり育ててください>
<ぐる子さんは仕事が遅すぎ。もっとスピード感を持って仕事を進めてください>
私からの返信がないと、数分おきに返事を促す旨のメッセージが入ります。
もしかしたらモラハラに加えて、ややストーカー気質のある男だったのかもしれません。
意味不明なスタンプも、もう恐怖でしかなくて…。
LINEの着信音を聞くたびに、胃がギュギューッと痛むのを感じました。
モラハラ上司に遭ってしまったらどうしたらいいのか

「これはモラハラだ」と気づいた場合、どうしたら良いのでしょうか?
私は、逃げました。全力で逃げました。
その会社は3ヶ月で退職してしまったのですが、今思えば、3ヶ月も我慢せずもっと早くに逃げていれば良かったと思います。
当時は「こんなに短期で離職してしまったら職歴が…」と気にしていましたが、1ヶ月でも3ヶ月でも半年でも大差はありません。
モラハラ上司相手に闘う方法もあったのかもしれませんが、「これはモラハラだ」と気づいた時点で、私にはもうその気力は残っていませんでした。
たったひとりの人間を相手にここまでボロボロになったのは、後にも先にもこの時だけです。

さすが、「精神の吸血鬼」と言われるだけのことはあるなあ~
モラル・ハラスメントをする人に、良心はありません。
話し合って理解してもらおう、仕事を頑張って認めてもらおう… そうした「普通」の考えは、一切通用しないと思った方が良い。
彼らは恐ろしいほど自分のことしか考えていないし、自分以外の人間がどうなろうと知ったこっちゃないのです。
こちらが相手以上に冷徹な人間となって、徹底的に追い詰める、という覚悟ができないのであれば、早々に相手とは無縁の人生を歩んだ方が賢明ではないかと思います。
ただ、そもそも冷徹になれる人は、最初からモラハラのターゲットとしては狙われにくいと思います。
私もその勇気がなかったから、その勇気がないことをモラハラ上司に見抜かれていたから、早々にターゲットになってしまったのでしょう。
とにかくモラハラ上司とは関わるだけ時間の無駄。
一刻も早く、相手とは無縁の生活を手に入れる方向に努力すべきだというのが私の考えです。
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