妊娠が分かった日から出産が終わるまで、私のひどい匂いつわりは続きました。約9ヶ月に渡る匂いつわりとの闘いの中で、比較的効果があったと思われる対策を紹介します。
匂いつわりが辛い理由
私の場合、妊娠中は匂いつわりが強烈で、妊娠期間中は「私は犬か?」と思うほど鼻が利くようになっていました。
身の回りのあらゆる物… それまで無臭だと思っていた物にも、しっかりと匂いがついていることを知りました。
“この世界はこれほどまでに、悪臭に満ちていたのか!”と、愕然としたくらいです。
単に「匂いが分かる」というだけではなく、それらのにおいが全て「悪臭」に感じられるのだから最悪でした。
無臭のものなどほとんどないので、どこへ行っても匂いから逃れることはできません。
今まで好きだった食べ物や、何ともなかった相手の匂いも突然ダメになってしまうのです。
周囲からの理解が得にくく、また協力してもらうのも難しいというのが、匂いつわりの辛いところだと感じました。
生活の全ての匂いが苦手に
妊娠が分かった時から出産まで、私の匂いつわりは延々と続きました。
初めは、風邪の症状と似ていました。
それまで使っていたシャンプーの香りが、突然強烈な吐き気を誘うようになったり。
コンビニや商品の匂いが気持ち悪く感じられるようになり、買い物が苦痛になったり…。
それで妊娠検査薬を試したところ、陽性と出たのです。
喜んだのも束の間、ありとあらゆる匂いに拒絶反応がでるようになり、苦痛な毎日が始まりました。
特に飲食店が立ち並ぶ駅前通りは危険地帯。いろんな食べ物の匂いが混じりあい、通るだけで頭痛がしてきました。
会社でも、四方八方から容赦なく“匂い攻撃”を受けました。
男性の上司から漂ってくる匂いや、女性の同僚からは香水や化粧品の匂いが、これまでの比でないくらい強烈な臭気に感じられました。
社員食堂など、とても近寄ることはできません。油の匂いを嗅ぐだけで、胃が裏返しになりそうでした。
夕方、清掃業者が入る時間になると、雑巾から強烈な生乾きの臭いが漂ってくるように思われ…
常に匂いにビクビクしながら過ごしていました。
比較的効果があった3つの匂いつわり対策
そんな八方塞がりな状況ながら、どうにかダメージを少なくするために私が試してみた対策を紹介します。
「やらないよりはマシ」という程度でしたが、多少は効果があったと思います。
(ちなみに、「産んでも終わらないのでは?」と心配になるほど延々と続いた私の匂いつわりでしたが、産んだらピタリとなくなりました。「終わりはあるもの」だと考えて大丈夫です!)
自宅だけは徹底して「無臭」にする
駅や会社など、多くの人が集まる場所の匂いはどうすることもできません。
また働いている限りは「行かない」というわけにもいかず、これはもう我慢する他ありません。
その代り、自分の裁量で何とでもできる<自宅>からは、徹底的に苦手な匂いを排除しておくことをお勧めします。
自宅にいる間だけは、「今度はどんな匂いが襲ってくるのか…」と怯えることもなくなりますし、安全な空間がひとつでもある、という事実は救いになるでしょう。
私は上記の通りシャンプーを捨て(耐えられる香りの物に買い替え)、インテリアとして買ってあったアロマキャンドルも押入れの奥深くにしまいこみました。
また、それまで使っていた布団がどうもカビ臭く感じられたので布団も捨て、来客用に買ってあった布団を自分用にしました。
実際、少しカビていたのかもしれません。妊婦の鼻でなければ分からなかったというだけで…。
ヘアケア用品(ヘアクリームやワックスなど)も、使うのをやめました。
やや髪はボサボサだったかもしれませんが… 顔周りに苦手な匂いをつかってしまうと、一日中気分が悪いので。
そんな苦しい思いをするくらいなら、ボサ髪の方がマシと判断。
ファンデーションやリップなど、化粧品の匂いがダメになってしまう人もいるかもしれません。
で、あれば、思い切って使うのをやめてしまったほうがいいと思います。
気力があれば、「大丈夫な匂い」を探してみてもいいかもしれませんが、私はドラッグストアに行くこと自体がいやだった(いろんな匂いが充満している)ので行きませんでした。
清潔なハンドタオルを携帯しておく
会社のデスクや電車内などで、苦手な匂いが漂ってきたら…
イザという時、「盾」になってくれるのがハンドタオルです。
匂いつわりの対策としてマスクをつけることを推奨している人もいますが、私の場合、マスク自体の匂いが気になってしまいつけることができませんでした。
調べてみると、同じような人は意外と多いようで、そんな人たちは皆タオルでにおいをシャットアウトしているみたいです。
私も、しっかり洗って、お日様の元で干したタオルのにおいに限っては大丈夫だったので、常にバッグに入れておくようにしていました。
逃げようがない時でも、これで何とかその場をしのぐことができます!
食事はにおいが少ないものを選ぶ
ご飯が炊けるにおいや、食事の湯気は、もう本当に「毒ガス」としか思えませんでした。
特にご飯の炊けるにおいなんて、私にとっては下水道の臭いそのもので、妊娠中はほとんどお米を炊くことはありませんでした。
(初めての子どもで、家には自分と夫しかいなかったから、できたことかもしれません。幸い夫は、食事にうるさい人ではなかったので)
妊娠中、特定の物を無性に食べたくなる人もいるようですが、特にコレと言って食べたいものもなく…
食べられそうなものを探しては仕方なく食べる、といった感じ。
温かいものは湯気のにおいを嗅いだだけで「オェ」なので、クリーム玄米ブランとか、フルーツグラノーラとか…
あまりにおいのない、パサポソした感じの乾いた物であれば、吐き気を催すことはありませんでした。
妊娠中の食生活は、そんな感じであまり栄養に気を遣うことはできませんでしたが、それでも胎児に必要な栄養は行くようで、ちゃんと育ってくれました。
何も食べられない、水さえも受け付けない、という場合は病院での受診が必須ですが、食べられるものがあるなら、意外と大丈夫みたいです。
つわりによって得られたのは「忍耐力」
以上、書いてみると「対策」といえるほどのものではありませんでしたが、他にも色々試してはみたものの、効果があったと思えるものは上記3つくらいしかありません。
9ヶ月間闘っても、有効な対策を出せなかった。それくらい、つわりは厄介な症状だ、ということです。
つわりの症状は千差万別。
そして、色んな症状を抱えながらも、仕事をしなくてはならなかったり、家事をしなくてはならなかったり。
「なんて理不尽なんだ!」と叫びたくなることはしょっちゅうでした。長いつわり期間を経て、出産を終えた今でもつわりは私にとって「何だかよく分からない理不尽なもの」です。
つわりにはどんな意味があるのが、或いは、単にホルモン量の変化がもたらした症状に過ぎず意味などないのか、それは分からないままです。
でも、“コレ”という解決策が存在しない。何もかも、全然思い通りにならない。しかも、そんな期間が延々と続き、いつ終わるのかも分からない。
この体験によって、その後の育児に必要な「忍耐力」だけは、間違いなく身につきました。そして、あのつわりに比べたら、出産や育児の方がずっと楽…
そう思えたことで(無理やり前向きに捉えるなら)、だらだらと続いた私のつわりも「忍耐力を養う期間」としての意味を持つことができたのではないかと思っています。
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