「営業事務」として働き始めて1年半が過ぎました
前職まで10年近く人事系の仕事をしていた私にとって、それまでとは全く分野の異なる仕事。でも当時はとにかく職を得なくてはならない状況で、「適性」など考える余裕がありませんでした。
あの行き当たりばったりな転職から1年半が経ち、私は今でも営業事務として働いているわけですが…「適性」はどうだったのかと聞かれたら、正直、分かりません。
この仕事にかなりの緊張感とストレスを感じている、という点では向いていないのかもしれないし、それでもこれまで大きなトラブルなくこなしてきたことを考えれば、適性があるのかもしれません。
が、やっぱり私にとって営業事務という仕事は、「ストレスの大きい仕事」と言わざるを得ません。それくらい、一日が終わると心身ともにヘトヘトに疲れて切っています。
もちろん、この仕事に向いている人はいると思いますが、逆に、人によってはかなり辛い仕事になってしまうケースもあると思います。
今回は営業事務という仕事の特徴、難しさや、向き・不向きについて、私の考えをまとめてみました。これから就職や転職などで、この仕事を候補に考えている人の参考になれば幸いです。
※営業事務とは… 会社によって業務の範囲は異なるにしても、「営業担当のサポートを中心に、事務処理や顧客対応をする仕事」と言えば、大きくズレることはないと思います。
具体的な業務例としては、見積書作成、商品の受発注、納期管理、在庫管理、納品書・請求書の発行、プレゼン資料の作成、電話対応など です。
「営業事務」に向いているのはこんな人
営業事務歴1年半の私が考える、「営業事務に向いている人」の特徴です。
- “正確な”コミュニケーションができる人
- 人をサポートすることに喜びを感じられる人
- 正確性とスピードの両方を追求できる人
それぞれ、説明していきましょう。
“正確な”コミュニケーションができる人
仕事の内容は基本的に「営業担当のサポート」になるので、営業担当からの指示を的確に受け止め、その通りに遂行できることが大前提となります。
自分で考えて行動する、というよりは、指示通りに動けることが、まずは必須の能力です。
「コミュニケーションスキル」というのは、営業事務に限らずどんな職種でも必要とされる能力です。
ただ営業事務に関しては「営業のサポート」が主な仕事である以上、サポートする相手の指示を理解できないと何も始まらないので、その意味でも最重要項目だと感じるのです。
「正確なコミュニケーション」と書いたのも、明るいとか社交的だとか気が利くとかいうことよりも、とにかく営業や顧客の言うことを的確にキャッチして先へ進める能力の方が、この仕事においてははるかに重要になるからです。
電話やメールをはじめ、言葉のキャッチボールが非常に多い仕事になります。その中で「聞き漏れ」「伝え忘れ」「間違い」「勘違い」を起こさない、「正確なコミュニケーション」が何より大事になってきます。
明るく、可愛がられるタイプの人だったとしても、「おっちょこちょい」の自覚がある人に営業事務はお勧めできません…。営業の代理で、金額に関わる仕事も代行するはずなので、何かあった時に「おっちょこちょい」では済まされないからです。
逆に、この「正確なコミュニケーション」さえ可能なら、ずば抜けた社交性や交渉力などなくても大丈夫。(あればあったで重宝されるでしょうし、そもそもそんな能力があるなら自分で営業した方が楽だとは思いますが…)
私自身、「社交的」からは程遠く、明るくもなければ気が利くタイプでもありません。ただ、心配性でかなり神経質なので、「正確なコミュニケーション」についてはかなり気を使っており、1年半が経った今では、社内でもそこそこ信頼は得ていると感じます。
人をサポートすることに喜びを感じられる人
これは「スキル」というより「志向」の問題かもしれません。
脚光を浴びることはあまりない仕事なので、「縁の下の力持ち」的にサポート業務に徹することが出来る人には向いています。
逆に、
自分で動いて結果を出したい!
自分で判断して進めたい!
自分の働きを評価されたい!
というように、「自分が…!」という気持ちを持った人が、ウッカリ営業事務に就いてしまうと、これはかなり辛い毎日になってしまうかもしれません。
私の場合、この点においては営業事務には向いていませんでした。
というのも、前職までは自分の判断で進める仕事が多く、志向的にもその方が合っていると感じていました。ある程度の責任と、同時に権限を与えられ、自分の裁量で進める…という仕事に張り合いを感じていたのです。
一方、現職の営業事務は自分の責任や判断で進めるようなことはほとんどありません。この点において、私にとっては「面白くない仕事」に感じられました。
案件が決まったり利益が上がったりしてもそれは営業担当の成果であり、営業事務が評価されることはほぼないので、「自分の仕事を評価して欲しい」という欲求が強い人にも、あまりお勧めはできない職種です。
また、「指示通りに動く」…これが人によっては難しいところで、特にそれまで自分で判断して動くような仕事をしていた人にとっては、戸惑いが大きいかもしれません。
「自分の判断で進められれば楽なのに(早いのに)…!」
と、最初はモヤモヤすることも多いと思います。
私も営業事務として働き始めて最初に感じたのは、「葛藤」でした。どんな些細なことでも、必ず営業担当に指示を仰いでからでないと動けない息苦しさ。以前なら、自分で判断できたであろう内容でも、確認してからでなければ先に進められないもどかしさ。
逆に、仕事において責任や権限を求めておらず、誰かをサポートすることに対して純粋な喜びを感じられる人にとっては、やりがいのある仕事だと思います。
正確性とスピードの両方を追求できる人
営業事務は、正確性とスピードの両方を求められる仕事です。
間違いは許されないし、かといって、じっくり確認している暇などなく、言われたらすぐに対応しなければならないこともよくあります。
しかも日常業務の多くは営業や顧客のタイミングでやって来るので、自分ではコントロールできないことが多いのです。場合によっては、一度に3つも4つも「至急案件」が重なってしまうこともあり、そんな時に全てを素早く、的確に処理するには、やはりその時になって頑張るだけではダメなのです。
日頃から営業に関わる情報をデータとして整理し、問い合わせ時には即時対応ができるよう備えておくこと。
また、普段使うフォーマット(見積書・注文書・請求書etc)を改良したり、Excelであれば数式を入れることで自動的にWチェックできる形式にしておくなど、ミスが起こらない仕組みづくりをすることが重要になってきます(そのためにも、やはりある程度のPCスキルは必須です)。
正確性と、スピード。
この両方を追求することに、自分なりの楽しみを見い出せる人には向いていると思います。
辛くても、営業担当をサポートし続ける姿勢を見せること
既に営業事務として働いていて、「どうも、うまくいかない」「向いてないのかな?」「辛い、辞めたい…」と感じている人もいるかもしれません。
そして、そう感じる原因のほとんどは、営業担当との人間関係にあるのではないでしょうか。
私も1年以上、そんな感じでした。
特に最初は担当の営業から「できない奴」扱いされて辛かった思い出があります。相手はとにかく言葉が足りない人で気が短く、私は入りたてにも関わらず「聞けば怒られる」という状況で… まぁどうしようもありませんでした。
この営業のことは、今でも好きになれません。というよりむしろ、大っ嫌いです。
それでも彼が仕事をしやすいように、この1年半、徹底してサポートしてきました。
気が短い人なので、スピード第一。何か確認されたら、瞬間的に返せるよう準備をしておく。
また言葉が足りない人で、指示内容が不明瞭なので、刺激しないように必要な情報を聞き出す… など、バカバカしいとは感じながらも、「営業担当にとってストレスにならない」ことを基準にして徹底的にサポートしてきたのです。
その結果… 今でも時々八つ当たりを受けることはありますが、それでもこの営業の私に対する態度は、だいぶ柔らかくなったと感じます。
私のサポートで彼も相当楽になったはずで、だからあまり邪険にもできなくなってきたのでしょう。大っ嫌いな男ではありますが、彼にとって「いなければ困る相手」になることに成功したのだと思います。
時間は掛かりますが、日々の仕事を通じて信頼を積み上げることが結局は一番の近道です。相手のことが苦手なら尚更、積極的にサポートするようにしましょう!
心の内では、別に嫌いでいいのです。
仕事の上では一生懸命サポートしている姿勢を見せて、「こいつはオレの味方」と思わせておくことが、苦手な営業とうまく付き合うコツだと思います。
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