ぐるぐるデイズ

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『怪物はささやく』まるで救いがないように見えて、ある。原作をぜひ読んでほしい!

      2017/04/25

映画『怪物はささやく』。

いよいよ2017年6月9日(金)より、日本も公開されます!

病気の母親と暮らす13歳の少年と、なぜか突然彼の前に現れた“イチイの木”の怪物。少年の孤独な日常と、怪物の語る物語が交錯する、ダークファンタジー。

主人公、コナーはルイス・マクドゥーガル 、母親をフェリシティ・ジョーンズ、祖母をシガニー・ウィーバー、怪物の“声”はリーアム・ニーソンが演じます。

 

気になったので、原作を読んでみたところ… いろいろと衝撃的な内容でした。

 

原案者シヴォーン・ダウトは2007年に亡くなっている

この映画の原作は、同名の児童文学『A Monster Calls(邦題:怪物はささやく)』。

 

ある夜、怪物が少年とその母親の住む家に現れた――それはイチイの木の姿をしていた。
「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つめの物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す……そのためにこのわたしを呼んだのだから」
嘘と真実を同時に信じた少年は、なぜ怪物に物語を話さなければならなかったのか?

原案者はイギリスの作家・活動家であるシヴォーン・ダウト (1960年2月4日-2007年8月21日) 。女性です。

シヴォーンは1960年、ロンドンでアイルランド人の両親の元に生まれました。

彼女が児童文学として残したものは次の4作品ですが、生前に発表されたのは2作目まででした。2004年に進行性の乳がんが発覚したのです。

  • 『A Swift Pure Cry』(2006)
  • 『The London Eye Mystery』 (2007)
  • 『Bog Child』(2008)
  • 『Solace of the Road』 (2009)

彼女は闘病生活の末、2007年8月この世を去りました。そのため、あとの2作品は彼女の死後の刊行となってしまったのです。

(晩年には、児童文学作家であり、同じく乳がんを患っていたメグ・ローゾフとも友情を築いていたそうです。)

 

『怪物はささやく(原題:A Monster Calls)』については、アイデアだけが書き残されている、未完成の状態でした。

 

シヴォーンのアイデアを元に本を完成させたのが、パトリック・ネス

そのアイデアを元に本を書き上げ、シヴォーンのアイデアを形にしたのがパトリック・ネス(1971年10月17日 – )。カーネギー賞の受賞歴もある、イギリスの作家です。

 

この本は、シヴォーンの第五の作品になるはずだった。キャラクター、物語の舞台、導入部。それらは揃っていた。シヴォーンに足りなかったのは、不幸にも、時間だった。

『怪物はささやく』“二人の著者”からのメッセージ(まえがき)より

 

彼女の未完の遺作を仕上げてみないかと声を掛けられたとき、パトリックは本当に迷ったのだと本書の前書きで述べています。「彼女の声真似をしただけの本を書くつもりはない、そんなことは絶対にできない」と。

 

それでも、シヴォーンのアイデアから生まれるインスピレーションに突き動かされるようにして、この『怪物はささやく』を書き上げたのだそうです。

 

まず本書の冒頭部分には、まえがきとしてこうした背景が明かされています。

 

まるで救いがないように見えて、ある。不思議なストーリーに不覚にもボロ泣き

原案者は、既に癌で亡くなっている―

物語に入る前から、原案者が既にこの世にいないことへの寂しさと共に、絶望感を味わいます。

この物語の素となっているのは、シヴォーン自身が病気と闘う中で生まれた思考や感情に違いないのです。

主人公の少年コナーの母親について、その病名や詳細は説明されてはいないものの、状況がシヴォーンと重ることで「おそらく末期癌なのだろう」と想像できてしまいます。

 

そんな母親を気遣いながら、良くなることを「信じ」て、淡々と日々を消化しようとする主人公、コナー。

父親は離婚し、既に別の新しい家庭を築いている。

おばあちゃんとはウマが合わない。

学校ではイジメに遭い、イジメっ子以外はみんな腫物に触るようにしてしかコナーに接しない… 孤独な毎日。

全体を通して、陰鬱な空気に覆われている物語です。

 

13歳で背負うにはあまりにも重たい現実に、敢えて感情的に深入りしないように生きるコナーの気持ちが、もう分かり過ぎて辛いのです。

 

そんなところへこの世のものではない「怪物」が現れたら、この怪物が母親の病を治してくれるんじゃないかと誰もが期待してしまうでしょう。

でも、怪物は決してそれを約束するようなことは言わず、ただ「物語」を語るだけです。

 

じわじわと症状が進み弱っていく母親をよそに、怪物が語るのは、そんな状況とは無関係で、理不尽な「物語」ばかり…。

 

途中、コレほんとに児童文学なの?と疑いたくなりました。

母親の病気を癒せないなら、怪物は何のために現れたのよ?と。

 

読んでいる途中で感じるのは、じれったさ、怒り、悲しみ、焦り、理不尽さ、絶望感… と、良い感情ではありません。ジャンル的には確かに「ファンタジー」に分類されるのでしょうが、決して夢物語、おとぎ話ではない。

それどころか、これ以上ないくらいに、現実的で残酷な物語です。

 

でも、そんな絶望的なストーリーの中にも、ちゃんと救いがある。読者や主人公が期待するような「分かりやすい」救いではないけれど。

 

映画の予習のつもりで読んでみたわけですが、不覚にも泣きました。

ボロ泣きでした。

 

これまでに本を読んで泣いたことはなかったと思います。

じわっと目がうるむ程度のことはあっても、この本を読んでいる最中のように、涙がボロボロ溢れ出てカーディガンの袖の色が変わった、なんて経験はありません。

 

主人公コナーが周囲にはひた隠しにしてきた「4つ目の物語」=「真実」も… 「そうだよね、そりゃそうだよ!分かるよ!」と叫びたくなったほどでした。

それほどの衝撃を受けてしまったのです。

 

本書『怪物はささやく』は「ヤングアダルト」に分類されますが、もしかしたらそれより上、主人公の親世代の方により響く本なのかもしれませんね。これは、母子の絆の物語でもあるので。

 

(この本の趣旨とは明らかにそれるのでしょうが、私は読了後に洟をすすりながら「息子にこんな思いはさせられない!」「健康に気をつけて、できる限り長く生きるぞ!」と決心しました)

 

読み終わっても、納得できるような、釈然としないような… 原案者が癌と闘う中で生まれたアイデアを元にしているだけあって、一筋縄ではいかないストーリーです。

ただ、つらいことはつらいのですが、それだけじゃない。言葉では説明できない、大切なものを授けてくれる本です。

 

 

 

「子供向け」「若者向け」と、読書の対象から外してしまうのはもったいない。ぜひ手に取ってみてください。

 

原作でこれだけの衝撃を受けてしまうと、映画を観るのがちょっと心配です…。できれば、「原作の方が良かった」って言いたくないですし。

 

あと、お子さんと一緒に見に行くなら、小学校中学年くらいからならギリギリいけるかなあ?という感じですね。内容が重いので。

 

映画『怪物はささやく』トレーラー

13歳の少年コナーは、難しい病を抱えた母親とふたりで裏窓から教会の墓地がみえる家に住み、毎夜悪夢にうなされていた。ある夜、コナーのもとに怪物がやって来て「今から、私はお前に3つの“真実の物語”を話す。4つ目の物語は、お前が話せ」と告げる。なおかつ怪物は、コナーが隠している“真実”を語れと迫るのだ。頑なに拒むコナー。しかしコナーの抵抗など意にも介さず、その日を境に夜ごと現れる怪物。こうして、物語の幕が上がるのだった。

出典:ぴあ映画生活

 

私は『エイリアン』シリーズの大ファンでもあるので、祖母役のシガニー・ウィーバーも気になるところです!

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